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歯の豆知識
予防歯科
フッ素の働きと家庭での虫歯予防の効果的な方法
フッ素の働きと家庭での虫歯予防の効果的な方法
検診の時に患者様の口腔内を観察してみると、残念ながら磨き残しが原因で歯ぐきが炎症したり、歯石ができています。やはり完璧に歯垢を取り除くことは難しいので、定期的に歯科医院でのクリーニングや磨き残しのチェックを受け、正しい磨き方を習うことが大切です。
検診の期間は3~6ヶ月になりますが、その間に新しい虫歯ができるのでは?と不安になる方も多いでしょう。虫歯予防として最も大切なことは歯垢を残さないことです。次にお家でできる簡単な虫歯予防として、第2回では「歯を強くするフッ素」について説明します。
フッ素って何?
フッ素は地球上で17番目に多い元素で、元素記号は「F」。土や水の中に含まれています。私たちが利用しているのは、ほとんどがフッ化物であり、フッ化物には酸に溶けにくい強い歯を作る働きがあり、世界各国で虫歯予防に利用されています。
フッ素が歯にもたらす効果
フッ素が歯の表面のエナメル質に取り込まれると、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトの構造が安定し、酸に溶けにくい強い歯が作られます。特に生えたばかりの歯は、フッ素を取り込みやすい性質があるため、子供のうちからフッ素を使用した予防は効果的です。
また、フッ素は唾液中のカルシウムイオンやリン酸イオンと一緒に、酸によって攻撃された歯の表面にくっつき、再石灰化を助けます。再石灰化とは、脱灰によって溶け出したカルシウムやリン酸が再び歯に戻る現象です。
フッ素は口の中の細菌にどのような影響を与える?
虫歯は、ミュータンス菌などの虫歯菌が糖を使って酸を作り出し、歯を溶かすことで起こります。フッ素は糖を分解する酵素の働きを阻害し、細菌の活動を弱めることで、お口の中で酸が作られない環境を作ります。
フッ素は身体に安全なのか?
フッ素は私たちの食事にも含まれており、必要な栄養素の1つです。誤った使い方をすれば身体に害を及ぼす場合もありますが、これは他の医薬品と同様です。正しい使い方をすれば、何の問題もありません。
フッ素を多く含む食品には、緑茶、わかめ、いわし、エビなどがあります。
家庭でのフッ化物の使用方法
家庭で使える代表的なものには、フッ化物入りの歯磨き剤があります。また、ジェルタイプやスプレー式のものもあり、これらは子供だけでなく大人の歯にも効果的です。特に、歯周病が進行したり歯ぐきが下がって歯の根元が見えてくると、根元の虫歯予防にもフッ素は役立ちます。
一度にたくさんのフッ素を使うよりも、少量を長期間使用することが大切です。歯の表面にフッ素が取り込まれることで歯は強くなり、フッ素はすべての人に効果があります。日常的にフッ素を使用して虫歯予防を心がけましょう。