電子タバコと歯周病のリスク：本当に安全なのか？

電子タバコだから歯周病でも大丈夫？

最近、電子タバコの普及に伴い、「電子タバコなら歯周病でも大丈夫ですよね？」とよく聞かれます。また、歯を抜いた後やインプラントを検討している方からも「電子タバコだから大丈夫？」という質問が増えています。

結論から言うと、あまり良くはありません。

タバコが口の環境に与える影響は、「歯周病」、「歯の黄ばみ」、「歯茎の色」、「口臭」、「傷口の治り」など多岐にわたります。まずは、健康に直結する歯周病や傷口の治りとの関係を説明していきます。

加熱式タバコの影響

健康被害の懸念から世界的に禁煙が推奨される中、日本でもタバコを吸いにくい環境が整っています。そんな中で、愛煙家のために登場したのが加熱式タバコです。

ネット上では加熱式タバコの評判がさまざまで、何を信じればいいかわからないこともあるでしょう。

「アイコスに変えてから歯茎が腫れた」という患者様もいらっしゃいます。皆さんの中にも、電子タバコに変えたことで違和感を感じた方がいるかもしれません。

歯周病と加熱式タバコの関係

どうして「アイコスに変えたら歯周病になった」という方と、口の中がすっきりしたと感じる方がいるのでしょうか？

共通点として考えられるのは、元喫煙者であることと、歯周病を持っていた可能性が高いことです。

電子タバコに変えることで、これまで紙巻きタバコのタールが抑えていた歯周病の症状が表面化するケースが多いのです。

喫煙と歯周病のリスク

喫煙者は歯周病になる確率が約3倍高いことがわかっています。

タバコの煙には、4000種類以上の化学物質が含まれ、その中にはニコチンやタール、一酸化炭素などがあります。これらの有害物質は歯周病のリスクを高め、特にタールは歯垢や歯石の形成を促進します。

電子タバコの落とし穴

加熱式タバコにはタールが含まれないため、歯周病のリスクが低く見えるかもしれませんが、実際にはそう簡単ではありません。

タールには炎症を抑える効果があり、これにより元々の歯周病が一時的に抑えられていた可能性があります。しかし、タールがなくなると、隠れていた歯周病が再発することがあります。

禁煙とインプラントの重要性

禁煙を推奨する理由は、歯周病のリスク軽減だけではありません。特にインプラント治療を考えている方にとって、禁煙は非常に重要です。タバコは歯茎の回復を遅らせ、インプラント手術の成功率を下げる可能性があります。

ニコチンの依存性は非常に高く、禁煙が難しいとされていますが、インプラントの成功率を上げるためには、禁煙が不可欠です。

結論

加熱式タバコは従来の紙巻きタバコよりも健康に良いと言われますが、完全に安全とは言えません。特に歯周病やインプラントを考える場合、最善の選択肢は禁煙です。電子タバコであっても、歯周病や口内環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。