塚口オオマチ歯科・矯正歯科院長の大間知です。
今回は指しゃぶり・爪かみ・舌で歯を押す癖は歯並びに影響するのか、というテーマでお話しします。
お子さまを見ていて「まだ小さいし大丈夫かな?」「でも歯並びが心配…」と迷われる親御さまは多いと思います。
癖は“悪いこと”というより、安心したい気持ちの表れだったり、体の使い方の癖であることもあります。
ただ、続く期間や力のかかり方によっては、歯並びや噛み合わせ、口の乾燥・口呼吸にもつながりやすくなります。
この記事では、癖ごとに起こりやすい変化と、見極めのポイントをご説明いたします。
目次
はじめに
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乳幼児期の指しゃぶりは自然な行動としてよく見られ、成長とともに減っていくことも多いです。
一方で、同じ癖でも“いつまで続いているか”、“どのくらいの力で毎日続いているか”で影響が変わります。歯は弱い力でも、毎日くり返されると少しずつ動いていきます。
大切なのは「止めさせること」だけではなく、お子さまが口を閉じやすい状態か、鼻で呼吸できているか、舌が正しい位置に置けているかなど、背景まで一緒に見ることです。
指しゃぶり・爪かみ・舌で歯を押す癖とは
指しゃぶりは、安心したい・眠りたい・退屈などの気持ちがきっかけになりやすい癖です。寝る前やテレビ中など、無意識に出ることもあります。
爪かみは、緊張や集中の場面で出ることが多く、クセというより“習慣”として続くことがあります。爪だけでなく、ペンや服などを噛む癖がセットになっている子もいます。
舌で歯を押す癖は、話す・飲み込む・休んでいる時に、舌が前歯を押してしまう状態です。本人に自覚がないことが多く、周りも気づきにくいのが特徴です。
どうして歯並びに影響しやすいのか
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歯並びは「強い力で一気に変わる」というより、弱い力が長く続くことで少しずつ変化することが多いです。
指しゃぶりでは、指が前歯と上あごに当たり続けることで、前歯の向きや上下の噛み合わせに影響が出やすくなります。
舌で押す癖も同様で、舌は筋肉なので、毎日の積み重ねで前歯に力がかかり続けます。
爪かみは、歯並びそのものに影響が出る場合もありますが、強い力が歯や顎にかかることで、歯がすり減ったり、前歯が欠けたり、あごが疲れやすくなったりすることがあり、結果として噛み合わせのバランスが崩れる要因になることもあります。
指しゃぶりで起こりやすい変化
指しゃぶりが長く続くと、次のような変化が出やすくなります。
- 前歯が前に出やすい:上の前歯が前へ傾くことで、口が閉じにくく感じる子もいます。
- 前歯がかみ合わない(前歯が閉じない):上下の前歯の間にすき間ができるような噛み合わせになることがあります。
- 上あごの形が細くなりやすい:指の当たり方によって、上あごが狭くなり、歯が並ぶスペースに影響することがあります。
また、「口が開きやすい」「口の中が乾きやすい」などが同時に見られることもあり、歯並びだけでなく呼吸や姿勢も一緒に確認することが大切です。
爪かみで起こりやすい変化
爪かみは、指しゃぶりほど分かりやすい変化が出ないことも多い一方、別のトラブルにつながりやすい癖です。
- 前歯が欠ける・すり減る:硬い爪を繰り返し噛むことで、前歯の端が欠けたり、表面がすり減ったりすることがあります。
- 歯ぐきが傷つく・炎症が起きやすい:爪に付いた汚れが入りやすかったり、歯ぐきに物理的な刺激が加わったりして、歯ぐきが荒れやすくなることがあります。
- あごが疲れやすい:無意識の噛みしめが増え、顎関節に負担がかかることもあります。
爪かみがある場合は歯の欠け・すり減り・あごの疲れなど、総合的にチェックするのがおすすめです。
舌で歯を押す癖で起こりやすい変化
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舌で前歯を押す癖は、見落とされやすいのに影響が出やすいタイプの一つです。舌は毎日使う筋肉なので、くり返しが多いからです。
- 前歯が前に出やすい:舌で押され続けると、前歯が少しずつ前方へ動きやすくなります。
- すき間が空きやすい:前歯に力がかかる方向によっては、歯と歯の間にすき間ができやすいことがあります。
- 前歯が閉じにくい:飲み込む時に舌が前へ出る癖があると、前歯がかみ合いにくい噛み合わせになりやすい傾向があります。
さらに、舌の位置が低いお子さまは、口が開きやすく、口呼吸や口の乾燥につながりやすいこともあります。
舌の癖は「歯並び」だけでなく「口が閉じやすいか」という点でも見ていくと分かりやすいです。
癖がある=必ず矯正ではない
ここまで読むと不安になってしまうかもしれませんが、癖があるからといって必ず矯正が必要というわけではありません。
癖があっても、短い期間で自然に減っていく場合もありますし、歯並びに大きな変化が出ないこともあります。
ただし、「続いている」+「歯並び・噛み合わせの変化が出ている」が揃う場合は、早めに一度状態を見ておくと安心です。
治療を始めるかどうかは別として、今の段階での“見立て”があると、ご家庭での声かけや見守りがしやすくなります。
ご家庭でできるセルフチェック
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ご家庭で以下のポイントを「気づくための目安」としてチェックしてみて下さい。
- リラックスしている時、口がぽかんと開きやすい
- 前歯が前に出てきたように感じる・唇が閉じにくそう
- 前歯が閉じず、上下の前歯の間にすき間がある
- 上の前歯のあたりに指が当たる癖が強い
- 爪かみで前歯が欠けた・すり減った・歯ぐきが荒れやすい
- 飲み込む時に、唇やあごに力が入りやすい・舌が前に出る感じがある
気になる点が増えてきたら、受診の目安になります。
止めさせ方で失敗しやすいポイント
癖を止めさせようとして、かえって長引くこともあります。よくある“つまずき”を知っておくだけでも、気持ちが楽になります。
- 強く叱る/恥をかかせる:癖は安心したい気持ちとセットになりやすく、叱られるほど隠れて続くことがあります。
- 短期間で完全にゼロを目指す:いきなり「今日から絶対ダメ」とすると反動が出やすいことがあります。波があるのは自然です。
- 原因を見ないまま“癖だけ”を止めようとする:鼻づまり、口呼吸、舌の位置の癖などが背景にあると、癖をやめても別の形で口が開き続けることがあります。
まずは、今の歯並びと噛み合わせの状態、口が閉じやすい環境かどうかを確認し、その上でお子さまに合う進め方を考えるのが遠回りに見えて近道です。
当院の考え方
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塚口オオマチ歯科・矯正歯科では、癖のご相談では「歯並びだけ」を単独で見るのではなく、呼吸(鼻でできているか)、舌の位置、飲み込み方、口が閉じやすいかまで含めて確認します。
癖が続いていても、今すぐ矯正がした方が良い子もいれば、まずは経過を見ながら“整えておくべきポイント”を押さえた方が良い子もいます。
大切なのは、年齢や癖の種類で一律に決めるのではなく、その子の成長段階に合わせて「今できること」を選ぶことです。
必要に応じて、鼻づまりや口呼吸の癖の背景も含めた全体像を整理し、矯正が必要な場合も「原因から整える」考え方で無理の少ない方針をご提案させていただきます。
当院で力を入れている小児矯正でマイオブレースというものがあり、詳しくは下記ページにて解説しておりますので、よろしければご覧下さい。
受診の目安
次のような場合は、一度相談していただけると安心です。
- 癖が長く続き、前歯の出方や噛み合わせの変化が気になってきた
- 前歯が閉じない・すき間が増えてきた
- 口が開きやすく、乾燥(口内炎・唇の切れ)も起こりやすい
- 爪かみで歯が欠けた・すり減った・歯ぐきが荒れやすい
- 舌で歯を押している気がする・飲み込み方が独特で気になる
「治療を始めるかどうか」よりも先に、まずは現状を把握することが大切です。原因が分かると、ご家庭でも安心して見守りやすくなります。
まとめ
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指しゃぶり・爪かみ・舌で歯を押す癖は、続く期間や力のかかり方によって、歯並びや噛み合わせに影響することがあります。
