デジタル化が進む歯科界

歯科医師の荒垣です。

コロナウィルスが流行してから1年ほど経ち、近畿2府3県も残念ながら再び緊急事態宣言が出されてしまいました。大規模な活動自粛に伴って会社に出勤をせずに、自宅にて仕事を行う方が増えたと思います。

良くも悪くも今回の自粛のおかげでオンライン上でのやりとりが一気に加速し全ての業種でデジタル化が発展したように感じます。

歯科界でも今まで休日や仕事の終わりにみんなで一つの場所に集まって行われていた勉強会がオンライン会議アプリを通して自宅で受講できるようになりました。

著作権等の関係から全ての勉強会がそういうシステムへ移行できているわけではありませんがGW中にも新しいオンラインセミナーの情報が入ってきているのでこれからもどんどん自宅で受講する勉強会が増えてくると思います。

実は歯科業界でのデジタル化は今に始まったことではありません。

かなり前から業界全体がデジタル化に取り組んでいます。

私が歯医者になる前よりレントゲンがデジタル化されたりカルテが電子化されたりしたことで長期間の保管による劣化が防げたり、データでの保存が可能なので保管場所に困ることがなくなったりと多くのメリットをもたらしてくれました。

最近特に話題になっているのがお口の中をカメラでスキャンして型取りをする機械です。口腔内スキャナーと呼ばれているものなのですが、従来(現在)の型取りといえば独特の匂いのする粘土状のものをお口の中に入れて固まるのを待って取り出し、そこに石膏を流して患者様のお口の中の模型を作っていました。

この方法は材料の進歩もあってかなり精密にお口の中の再現ができますが、それでも口腔内から取り出す時と、石膏を流す時にどうしても誤差が発生してしまうことが多くありました。

しかし、口腔内スキャナーは小さなカメラを使って全ての歯をあらゆる角度から何枚も撮影し、つなぎ合わせることで1つの3Dデータにすることができます。

嫌な匂いの材料を必要とせず、術者が慣れれば5分程度で上下の歯型およびかみ合わせの型を取ることが可能となるため患者様の負担が今までよりもかなり軽減されると思います。

現段階で全ての治療に対応しているわけではありませんが被せ物やインプラント(数本程度)であれば従来の型取りの方法よりも精度がいいと言われています。

当院では以前よりマウスピース矯正、精密なインプラント埋入のためのガイド装置には口腔内スキャナーを使用しており、昨年の12月ごろより被せ物への応用のためにいろいろな業者さんと情報交換を行ったり、矯正治療がより安全にできるように提携している技工所さんのところへ行って実際の歯の動きを予測しCT(3次元的な骨のレントゲン)と重ねて骨からはみ出ていないか確認できる様子を見学させてもらったりとデジタル化に向けて励んでおります。

勿論、デジタルにもメリット、デメリットはありますのでしっかりと検証した上で歯の治療の際なるべく不快感がない方法が提供できるように頑張って行こうと思います。