塚口オオマチ歯科・矯正歯科院長の大間知です。
今回は「乳歯でも矯正相談していいのか?」というテーマでお話しします。
小児矯正のご相談でとても多いのが、「まだ乳歯だし、永久歯が生え揃ってからで良いのでは?」「今相談すると、すぐ矯正を始めないといけないの?」という不安です。
結論から言うと、乳歯の時期でも矯正相談は“して大丈夫”です。
むしろ、乳歯の時期だからこそ分かること、今のうちに整えやすいことがあります。
このブログでは、生えはじめ(乳歯列期)に相談する意味と、今できることと待った方がいいことを、分かりやすく整理していきます。
目次
結論:早めの相談は「損」になりません
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「乳歯はいずれ抜けるのに、歯並びを見ても意味があるの?」と思われる方も多いと思います。
確かに乳歯は生え変わりますが、乳歯の時期に見ておきたいのは“歯そのもの”だけではありません。
ポイントは、お口の使い方(呼吸・舌・飲み込み・唇の閉じ方)や、あごの育ち方です。
ここが乱れると、永久歯が生える土台が不安定になり、結果として歯並びの乱れが起こりやすくなります。
つまり乳歯期の相談は、「今すぐ矯正をするか決める場」ではなく、将来の歯並びが乱れやすいサインがあるかを確認し、できるところから整える相談と考えていただくとイメージしやすいと思います。
永久歯を待つ前に見ておきたいポイント
歯並びが乱れる理由は、歯の大きさや生える順番だけではありません。日常の中の小さなクセが積み重なって、歯並びに影響することも多くあります。
たとえば、次のような状態は要注意です。
- 口がぽかんと開きやすい(口呼吸が多い)
- 食べるときクチャクチャ音が出る/噛む回数が少ない
- 飲み込むとき、唇やあごに力が入りやすい
- 舌がいつも下に落ちている/前に出やすい
- いびき、口の乾き、寝起きのだるさが気になる
これらは、見た目の歯並びとは別に、歯並びを悪くしやすい環境ができているサインのことがあります。
乳歯の時期にこうしたサインを見つけておくと、「永久歯が並ぶための土台」を整えやすく、結果的に将来の矯正が軽く済む可能性も高まります。
マイオブレースとは
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マイオブレースは、柔らかいマウスピース型の装置を使い、歯並びを悪くする原因になりやすい口呼吸・舌の位置・飲み込み方・唇や頬の使い方などの根本的な原因にアプローチする小児矯正です。
歯を強い力でグイグイ動かすというより、成長期の力を味方にして、歯が並びやすい環境作りを目指します。
詳しい内容は当院ページでまとめていますので、詳しくは下記をご覧ください。
乳歯の時期に相談するメリット
乳歯期の相談で得られるメリットは、「今すぐ装置をつけるかどうか」だけではありません。むしろ、次の3つが大きいと考えています。
1.“今のクセ”が将来に影響しそうかが早めに分かる
乳歯の時期は、永久歯がまだ揃っていない分、歯並びの評価が難しい面もあります。ですがその代わりに、口呼吸・舌・飲み込み・姿勢といった“原因になりやすい部分”を早期に見つけやすい時期でもあります。
「大きな問題はないから様子見でOK」「このままだと悪くなりやすいから、今出来る準備をしよう」など、方向性が早く分かるだけでも、気持ちがとても楽になります。
2.成長の力がある時期は、整えやすいことが多い
小さなお子さまは、体の使い方のクセが固定されきっていないことが多く、正しい使い方を覚えると、スッと切り替えられるケースもあります。
たとえば「口が開きやすい」「舌が下がりやすい」といった状態は、早めに気づいて練習できると、改善しやすいことがあります。
3.“必要なときに始められる”よう準備ができる
矯正は、始めどきが大切です。ただ、家庭だけで見極めるのは難しいものです。
乳歯列期から一度チェックしておくと、「いつ」「どんな方法が合いそうか」の見通しが立ちやすくなり、いざ必要になったときに慌てず進められます。
当院の考え方:年齢ごとに“今できること”を大切にします
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当院では、お子さまの成長段階に合わせて、無理のない進め方を大切にしています。
3〜5歳ごろ:まずは保険適用の「口育」で土台づくり
この時期は、まずは保険適用で行える健康な発育を促すトレーニング(口育)で、呼吸・舌・姿勢などの土台を整えます。
「出来る範囲で、習慣を整える」ことが中心です。お子さまが嫌がることを無理に進めるより、少しずつ「出来た」を増やしていくことが大切です。
6〜9歳ごろ:マイオブレースを本格的に検討しやすい時期
乳歯と永久歯が混ざる時期で、あごの成長も活発です。
このタイミングは、装置とトレーニングを組み合わせるマイオブレースの良さを一番活かしやすい時期になります。
「歯並びを悪くしやすい原因」にアプローチしながら、永久歯が並びやすい環境づくりを目指していきます。
10歳以降:永久歯の生え変わりを見ながら方針を決める
10歳以降は、あごの成長が少しずつ落ち着いてくる時期です。永久歯の生え揃い方や歯並びの状態を見ながら、今のトレーニングを継続するのか、別の治療が必要かを判断します。
大切なのは、「何歳だから遅い」ではなく、今の状態に合った選択をすることです。
“今できること” と “待った方がいいこと” を分けて考えましょう
今できること:まずは状態を正しく知って、整えやすい所から
乳歯列期におすすめなのは、「できることを全部やる」ではなく、優先順位をつけて取り組むことです。
例えば、鼻詰まりが強いと鼻呼吸がしにくくなり、口が開きやすくなります。
こうした場合は、歯科だけでなく、必要に応じて耳鼻科的なケアも含めて考えることが大切です。
また、舌の位置や飲み込み方、唇の閉じ方などは、日々の積み重ねで変わりやすい部分でもあります。
乳歯列期の相談は、こうした「変えやすい部分」を見つけて、無理のない形で整えるきっかけになります。
待った方がいいこと:焦って“歯だけ”を動かす判断
逆に、乳歯期は「焦らない方がいいこと」もあります。
たとえば、乳歯は生え変わりがあるため、歯の位置だけを無理に動かす治療は、その子の状態によってはメリットが小さくなってしまうこともあります。
大切なのは、歯だけを見ず、原因や成長全体を見て判断することです。
「とにかく早く整えたい」と思うお気持ちはよく分かりますが、矯正は早ければいいというものではありません。無理なく続けられて、結果が安定しやすい方法を選ぶことが、遠回りに見えて実は近道になることも多いです。
乳歯でも相談がおすすめのサイン
次のチェック項目に、当てはまる場合は、乳歯の時期でも一度相談しておくと安心です。
- 日中、気づくと口が開いていることが多い
- 寝ているときに口が開く/いびきをかく/朝のどが渇く
- 舌が下に落ちやすい、前に出やすい
- 食べるのが早い(噛む回数が少ない)/飲み込みが気になる
- 前歯が出てきた、受け口が気になる、歯のガタつきが出てきた
- 姿勢が崩れやすい(うつむき、猫背、頬杖が多い)
もちろん、当てはまるからといって必ず矯正が必要というわけではありません。
ですが「大丈夫かな?」が続くと、保護者の方もしんどくなってしまうことがあるかと存じます。
確認して安心するという意味でも、ぜひ無料相談にお越し下さい。
当院でのご相談〜治療の流れ
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当院では、以下の流れで進めさせていただいております。
- 1.無料相談:お悩みや生活リズムを伺い、お口の状態を確認します
- 2.評価・方針のご提案:必要に応じて、呼吸・舌・飲み込み・姿勢なども含めて見立てます
- 3.「今できること」の整理:口育で準備をする/経過観察をする/適応があればマイオブレースを検討するなど
- 4.スタート後は段階的にサポート:無理のないペースで、続けやすさを大切にします
「すぐに始めるかどうか」は、その場で決めなくて大丈夫です。
ご家庭で持ち帰ってゆっくり検討していただけるように、分かりやすく整理してお伝えします。
よくある質問
Q. 相談したら、必ず矯正を始めないといけませんか?
A. いいえ。相談はあくまで「今の状態を知る」ためのものです。経過観察が最適な場合もありますし、口育で準備するだけのケースもあります。無理にスタートをおすすめすることはありません。
Q. 乳歯がすきっ歯っぽいのは、問題ですか?
A. 乳歯の時期は、永久歯が生えるスペースを作るために、すき間がある方が自然なこともあります。すき間が「良い/悪い」だけで判断せず、全体のバランスを見て判断するのが大切です。
Q. 家で出来ることはありますか?
A. まずは「口が開いていないか」「鼻で呼吸できているか」を、日常の中でそっと観察してみてください。出来ていない所を責めるのではなく、出来た瞬間を見つけてあげる方が続きやすいです。具体的な方法は、お子さまの状態に合わせてご案内させていただきます。
まとめ:乳歯列期の相談は“早すぎ”ではなく“準備”です
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乳歯の時期から矯正相談をすることは、決して早すぎるわけではありません。
永久歯を待つ前に、歯並びを乱れやすくする原因(呼吸・舌・飲み込み・唇・姿勢など)を確認し、今出来る準備をしておくことで、将来の負担を減らせる可能性があります。
「今すぐ治療が必要かどうか分からない」「様子見でいいのか知りたい」という段階でも大丈夫です。
お気軽にご相談くださいませ。
