塚口オオマチ歯科・矯正歯科院長の大間知です。
今回はマイオブレース(MRC)で姿勢や集中力にも変化が起き、全身に影響してくるというお話しをさせていただきます。
「矯正は歯並びを整えるための治療」と思われる方が多いのですが、実際には歯並びは体全体のバランスと深く関わっています。
歯の並びは、呼吸・舌の位置・唇や頬の筋肉の使い方・姿勢などの“使い方のクセ”によって作られているため、部分的な矯正だけでは根本的な改善が難しいことがあります。
マイオブレースは、装置とアクティビティ(トレーニング)によって、歯並びを悪くする「原因」を整える治療です。
その結果として、姿勢の改善や呼吸の安定、集中力の向上といった変化が見られることも珍しくありません。
今回は、歯並びと全身の関係をマイオブレースが姿勢や集中力にどのように関係しているのかをお話しいたします。
目次
歯並びだけではなく「全身のバランス」を見る矯正とは
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歯並びを整えるだけでなく、全身の姿勢や筋肉のバランスを含めて治療を行うことがマイオブレースの大きな特徴です。
人間の体は一部分だけで動いているわけではありません。
頭の位置・舌の高さ・首の角度・背中の筋肉の緊張などがすべて連動しています。
そのため、口呼吸や舌の位置のズレは、ストレートネックや猫背の原因になることがあります。
例えば、口呼吸が続くと口が開き、下あごが下がって首が前に出ます。
すると頭の重心がずれ、首・肩・背中の筋肉が常に引っ張られる状態になります。
この姿勢では胸が圧迫されて呼吸が浅くなり、疲れやすくなったり、集中が途切れやすくなるのです。
一方、舌が正しい位置(上あごのスポット)にあると、頭がまっすぐ起き、胸が広がって深い呼吸が出来るようになります。
つまり、マイオブレースは歯並びを整えると同時に、「体の使い方」そのものを整える治療でもあるのです。
マイオブレースが重視する“原因”へのアプローチ
マイオブレースは、「なぜ歯並びが悪くなったのか?」という根本に向き合う治療です。
主な原因として、次のような項目が挙げられます。
- 口呼吸(常に口が開いた状態)
- 舌の位置が下がっている
- 飲み込み方が間違っている(舌で前歯を押す)
- 唇を閉じる力が弱い
- 猫背・頬杖・うつむき姿勢などの生活習慣
これらの習慣が重なると、歯の位置・顎の成長方向・姿勢まで影響を及ぼします。
マイオブレースでは、装置とトレーニングによってこの“生活習慣の連鎖”を断ち切り、体が自然に良い姿勢を選ぶように導きます。
こうした変化は少しずつ現れます。
最初の数か月で「口が閉じられるようになった」「姿勢が少し伸びた」といった小さな変化が見え始め、その積み重ねが呼吸の深さや集中力の改善へとつながっていきます。
舌・呼吸・姿勢・筋肉の連動が健康な成長を支える
舌の位置は、見た目以上に重要です。
舌が上あごに広く触れていると、上あごが内側から支えられ、顔の成長方向が正しく保たれます。
これにより、鼻の通りが良くなり、呼吸が安定していきます。
呼吸が整うと姿勢も安定し、体幹がしっかりと働くようになっていきます。
姿勢が良くなると、筋肉が効率よく使われ、疲れにくくなり、学習や運動に必要な集中力も維持しやすくなるのです。
口呼吸と姿勢の深い関係
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口が開くと姿勢が崩れるメカニズム
口呼吸が続くと、あごが下がって舌も低い位置に落ちます。
舌の支えを失った頭は自然と前方に傾き、首や肩が前に出てしまいます。
これがいわゆる「前かがみ姿勢」「猫背姿勢」です。
胸が圧迫されることで肺が十分に膨らまず、呼吸が浅く速くなります。
体が酸素不足を感じると、集中力や思考力にも影響が出て、勉強中やスポーツ中に疲れやすくなります。
当院でも、口呼吸から鼻呼吸に切り替わることで、「首や肩のこりが減った」「息苦しさを感じにくくなった」と話すお子さまが多くいらっしゃいます。
これは姿勢と呼吸が互いに深く関わっている証拠です。
鼻呼吸が姿勢を支える理由
鼻呼吸は、空気を通すだけでなく「姿勢を整えるセンサー」の役割も果たします。
鼻で呼吸をすると、舌が自然に上あごに収まり、首と背中の筋肉が安定したバランスを保つことができます。
マイオブレースでは、この「鼻呼吸を取り戻す」ことを軸に、姿勢・筋肉・呼吸を連動させて体全体の使い方を整えます。
正しい呼吸ができるようになると、座っているときの姿勢や歩き方までも変わってくるのです。
姿勢が整うと集中力が上がる?その理由
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呼吸が深くなると脳がクリアに
脳は体内酸素の約4分の1を使う臓器です。
浅い呼吸では酸素が不足し、頭がぼんやりしたり、集中力が途切れやすくなります。
マイオブレースによって鼻呼吸が定着してくると、胸やお腹をしっかり使った深くゆったりとした呼吸ができるようになり、体全体が落ち着いてリラックスした状態を保ちやすくなります。
また、血流と酸素供給が安定し、脳が活発に働くため、思考の切り替えや学習効率も高まります。
副交感神経の働きと集中
鼻呼吸には、副交感神経を優位にする働きがあります。
ゆったりとした呼吸が心身の緊張を和らげ、落ち着いた集中状態を維持しやすくします。
この状態では「焦らず落ち着いて取り組む」ことができ、学習・運動・日常生活すべてに良い循環が生まれます。
お子さまの中には、矯正治療を通じて「イライラが減った」「気持ちの切り替えがスムーズになった」と感じられる方もいます。
マイオブレースで期待できる変化
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正しい舌の位置と呼吸で「体幹」が安定
舌が上あごにしっかり当たり、口が自然に閉じられるようになると、首から背中にかけてのバランスが整います。
この体幹の安定は、姿勢だけでなく運動神経にも影響します。スポーツをしているお子さまでは、フォームや持久力が向上するケースもあります。
また、呼吸の通りが良くなることで、走る・跳ぶといった動作でも息が乱れにくくなり、体を動かすことがより楽になります。
見た目の変化だけでなく、体の使いやすさが変わってくるのです。
姿勢改善がもたらす集中・睡眠・情緒面への効果
姿勢が良くなり、呼吸が深くなると、脳がしっかり休息できるようになります。
そのため、睡眠の質が上がり、朝の目覚めが良くなり、日中の集中力も持続しやすくなっていきます。
当院では「猫背が改善した」「授業中に姿勢が崩れなくなった」「表情が明るくなった」といった声を多くいただいています。
これは歯並びだけでなく、全身の成長バランスが整っている証拠です。
当院での取り組み
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塚口オオマチ歯科・矯正歯科では、歯並びの改善だけをゴールとせず、「呼吸・姿勢・舌の使い方」を含めた全体の発達をサポートしています。
3〜5歳では保険適用の「口育」で基礎を作り、6〜9歳でマイオブレースを用いて機能改善を中心に行います。
10歳以降は永久歯が生え揃った段階で、必要に応じてインビザラインなどの矯正へ進む方もいらっしゃいます。
月1回のトレーニングでは、装置の使い方に加え、鼻呼吸・舌の位置・姿勢・嚥下の確認を行い、成長段階に応じたサポートを続けています。
治療を通じて変化が見えた際には、お子さま本人だけでなくご家族とも共有し、生活習慣の中で続けやすい工夫を一緒に考えていきながら進めていくというのが当院の方針です。
まとめ
マイオブレースは、歯並びのための矯正にとどまらず、「呼吸」「姿勢」「集中力」「睡眠の質」など全身の健康と成長を支える矯正法です。
舌の位置と鼻呼吸を整えることで、姿勢が自然にまっすぐになり、体が安定します。
その結果、集中力が高まり、疲れにくく、表情も明るくなります。
「歯並びを整える=体の土台を整える」という考えのもと、塚口オオマチ歯科・矯正歯科では、お子さまの成長を無理なくサポートする治療を行っています。
小さな体の使い方のクセが将来の成長に大きく影響するため、気になるサインがあれば早めのご相談をおすすめします。
歯並びの奥にある“からだ全体のバランス”を整えることが、笑顔の土台を作る第一歩です。
