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お口の中のお掃除で認知症まで予防出来る?!

2018年10月05日

全身疾患と歯周病の関連性がさまざまに取り出される中、認知症専門の先生が、認知症と口腔環境、歯周病との関連性を指摘しています。

その先生は岐阜県で月に1000人もの認知症の患者さんを診る先生であり、一診療所の中で口腔ケア(お口の中のお掃除)を行い、認知症予防、治療を実施し、高齢者医療における歯科の重要性を発信されています。

今までは医科から依頼される歯科の役割は、歯や口腔ケアと言う概念ではなく、誤嚥性肺炎(口の中が汚いことにより引き起こされる肺炎)の予防や嚥下機能(飲み込む能力)の改善のためである事が多かったですが、糖尿病と歯周病の関連性とか、脳血管障害や心筋梗塞と歯周病の関連性とか、全身疾患と歯周病との関連性が取り沙汰されるようになってきて、医科でも歯科の重要性が見直されるようになってきました。
循環器内科の先生は心臓の面から歯の大切さや歯周病の怖さを訴え、糖尿病内科の先生は糖尿病の観点から訴え、脳神経外科の私は認知症の観点から訴える、そうゆう先生方がなぜか同じ時期に出て来てくれたのです。

そして、その認知症専門の先生が言うには、患者さんの4人に1人は50歳代とかなり早い段階から総入れ歯という事でした。しかし、認知症の患者さんのために具体的に行動している病院がほとんどなかったそうです。
そこで、自分の医院を作る時に口腔ケアの出来る診療所にしたそうです。
初めの頃は認知症の治療に来て歯のお掃除?という患者さんが多かったそうですが、最近は、患者さんも付き添いのご家族の方も全身疾患において歯が大事ということを薄々知ってらっしゃる方が多いようで、そういう提案に関してもすんなりと受け入れてくれる方が増えたようです。
世の中には歯の治療や口腔ケアを必要としている人が本当にたくさんいらっしゃって、実際に歯科が診れているのは氷山の一角だという事でした。
口腔のメンテナンスをすることで歯周病の予防や治療につなげることの方が大切で、できるだけ自分の歯を残して最後まで噛めることや唾液の分泌を促進させることが認知症の予防に重要だそうです。

また、昔からアルツハイマーの原因は慢性炎症だということが言われていて、その1つの原因として歯周病菌であるサイトカインの可能性が指摘されるようになってきています。
さらに記憶学習能力を調べる実験でも歯周病のマウスは認知機能が低下していることがわかりました。

現場レベルでも様々な効果が出ているそうです。
例えば、うがいが上手にできないと言う90歳の女性が口腔ケアと顔面マッサージをしてあげることで上手にうがいができるようになったり、
食事にすごく時間がかかっていた87歳の女性が歯のメンテナンスを始めてから食べる力がアップして食事の時間が短くなり同時におしゃべりも増えたり、
食欲が低下してしまってもう看取りしかないと言う人が口腔のメンテナンスを1回しただけでスッキリして食事量が戻ったりだとか、
患者さんそれぞれに本当に様々な効果が出ていてるそうです。
認知症の患者さんにとって心地よさと言われる感情がとても大切だそうです。
口の中をきれいにしてあげることや歯磨きや咀嚼は感覚野、すなわち脳に刺激を与えると言う意味ですごくいいそうです。
実質的な刺激がとても広範囲で脳に達すると言うこともありますし、心地よさと言う感覚面もありますし、
単純に噛むと言う動作だけを考えて一噛みすると3.5 CCも脳の血流が増えると言うこともあります。

口腔と脳には本当に密接なつながりがあるようです。
余談ですが、脳への刺激と言う意味では、歯磨きは片方だけでなく両手を使ったほうが効果が大きいそうです。歯に当たる角度も違ってきれいに磨けることもありますし一石二鳥です。

歯という専門的な情報でもすんなりと手に入れることが出来るこの時代において、
多くの人の歯に対する知識が増え、さらに健康に対しての意識も高まる現代において、
今後歯医者さんは歯が痛くなったら治療すると言う範囲での需要が少なくなってくるかもしれないですが、
もっとひろい範囲での歯科医師や歯科衛生士の活躍が期待できる範囲が増えて来ていると感じています。
今後、医療機関や介護施設において歯科衛生士の需要は確実に高まってくるでしょうし、
訪問歯科などとの連携を組んで口腔ケアに力を入れているかが、施設選びにおいて重要なポイントになってくると思います。

認知症の先生曰く、外来診療の患者さんに「認知症予防には口腔ケアが大事なんだよ」と言うと、かかりつけの歯科医院に行くが、せっかく歯科医院に行っても虫歯の治療だけして終わりましょうと言われる方もたくさんおられるそうです。
日本でも予防歯科が主流になってきていると言われていますが、実際はまだまだみたいです。
病気になってから、高齢になってからではなく日頃からのメンテナンスができる歯科医院が増えることで、一生涯口から食事が取れる位歯が残り、結果として糖尿病や認知症の予防につながっていく。日本がそんな国になれるようなお手伝いが出来ればと思い、オオマチ歯科でも予防歯科に力をいれています。
オオマチ歯科では、まずは塚口の皆さんに予防歯科の重要性を知っていただけるようにしたいと思っています。そして、将来的には尼崎の皆さんに向けて発信出来るようになりたいと考えています。

知り合いの医科の先生に口腔ケアと全身疾患の関係性の話をしても「歯を見たことがなかった」と言われました。歯科と医科では全然見るところが違う事に気付かされます。
そうです。まずはもっと医科と歯科の連携を取る事が一番重要なのかも知れません。
オオマチ歯科では、5年後の未来に地域での医科歯科の連携を考えています。
手探りですが、少しづつでも前に進めて行きたいと考え、最近ではいろいろな医科の先生達と話す機会を持つようにしています。

この超高齢化社会的において、医療費の問題は大きな問題である事は否めません。
歯科が予防に力を入れる事で虫歯治療をなくし、医療費を少しでも削減できると思います。
さらに医療費の大きな割合を占める認知症、脳血管疾患、心筋梗塞、糖尿病まで予防出来れば、素晴らしい事だと思います。
病気にかからずに済む事で、経済的、身体的に個々人にとってもいい事ですし、そして医療費削減により国にとってもいい事だと思います。
僕らの使命はこの事を患者さん一人一人に伝えて、予防を意識してもらう事、そして医院として予防の患者さんに対しての準備をする事だと思っています。
当院では予防歯科に力を入れる事をここに宣言し、より具体的に、より実践的に地域に貢献できるように努めていきたいと思います。