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歯の豆知識
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糖尿病の方が歯科治療前に知っておきたいリスクと対策
塚口オオマチ歯科・矯正歯科、院長の大間知です。
本日は最近国が推奨している「医科歯科連携」、その中でも注目されている歯周病と糖尿病の関係について書かせていただきます。
糖尿病をお持ちの方にとって、歯科治療を受ける際には特別な配慮が必要です。治療の種類や体調によって、安全に受けられる場合と注意すべき場合があります。今回は、糖尿病の方が歯科治療を受ける際のポイントについて解説します。
シックデイとは?
糖尿病の方が発熱、下痢、腹痛、嘔吐、食欲不振などで食事が摂れない日のことを「シックデイ」と呼びます。糖尿病の方は免疫力が低下しているため、感染症にかかりやすい傾向があります。
シックデイの際は、血糖コントロールが不安定になり、高血糖や低血糖のリスクが高まります。そのため、この状態で歯科治療を受けることは避けるのが賢明です。特にインスリンを使用している1型糖尿病の方は高血糖になりやすく、低血糖のリスクもあるため注意が必要です。シックデイの際は内科の主治医に相談し、別の日に歯科治療を受けるようにしましょう。
歯科治療の種類と注意点
・麻酔を使わない軽度の治療
シックデイでなければ、通常の虫歯治療やクリーニングは問題ありません。
・麻酔を使う治療
麻酔を使用する治療では、以下の条件を満たしていることが望ましいです。
- 治療前に食事を摂れていること
- シックデイでないこと
- 尿ケトン体が陰性であること
- 空腹時血糖が100~140mg/dL、または食後血糖が160~200mg/dLであること
麻酔を使い、血が出る治療(抜歯・外科手術) 抜歯や外科的処置を受ける場合は、さらに注意が必要です。
- 上記の条件に加え、急激な口渇や頻尿がないこと
- 事前に処方された抗生剤を服用していること
- 低血糖を引き起こす薬(オイグルコン、グリミクロン、アマリールなど)を使用しているか確認すること
歯科で使用する薬との関連
歯科治療で使用される主な薬には、鎮痛剤と抗生物質があります。
・鎮痛剤
糖尿病の方がスルホニル尿素薬(ダオニール、オイグルコンなど)を服用している場合、酸性NSAIDs(ロキソニン、ボルタレン)と併用すると血糖降下作用が強まり、低血糖を引き起こす可能性があります。
・抗生物質
テトラサイクリン系(ミノマイシン)やニューキノロン系(クラビットなど)は、血糖値を上昇または低下させる可能性があるため、慎重に使用する必要があります。
糖尿病と生活習慣
睡眠時間が7~8時間の人は、2型糖尿病の発症リスクが最も低いとされています。睡眠が1時間短くなるごとにリスクが9%上昇し、1時間長くなるごとに14%増加することがわかっています。不眠症状(寝つきが悪い、夜中に目が覚めるなど)も糖尿病と関連があるため、適切な睡眠を心がけましょう。
また、食生活習慣については以下のようなことに気をつけましょう。
- 朝食を抜くと、昼食・夕食後の血糖値が上昇しやすくなります。
- 夕食が遅い(21時以降)と、翌朝まで高血糖が続く傾向があります。
- 早食いは肥満のリスクを高め、HbA1c(血糖管理の指標)の上昇を招きます。
- 食事の順番は「野菜→炭水化物」の順にすると、血糖値の上昇を抑えやすくなります。
まとめ
糖尿病患者の歯科治療には、シックデイの回避や血糖コントロールの確認が重要です。また、生活習慣の見直しも歯科治療の成功につながります。治療前には主治医と相談し、安全な治療を受けるようにしましょう。