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歯の豆知識
インプラント
目次
左下ブリッジ部位に発生した歯根病変に対するインプラント治療症例
初診時の状況

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症例概要
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患者:女性
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年齢:51歳
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主訴:左下奥の歯ぐきが腫れて痛い
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治療部位:左下第二小臼歯・第一大臼歯(ブリッジ部位)
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治療期間:約1年間
問診
患者様は「左下の歯ぐきが腫れて痛い」とのことで当院へ来院されました。押すと強い痛みを訴え、食事にも支障が出ているとのことでした。
左下第二小臼歯から第二大臼歯にかけてのブリッジがあり、レントゲン撮影を行うと、その支台歯である第二小臼歯の根尖部に大きな膿疱(膿のかたまり)が認められました。骨の吸収も進んでおり、歯を残すことは困難と診断しました。
口腔内所見
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左下第一大臼歯は過去に抜歯され、その後ブリッジで補綴されていた
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左下第二小臼歯はブリッジの支台歯でしたが、根尖に大きな病巣を形成し、強い炎症反応を伴っていた
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顎骨の吸収が進行しており、通常の即時インプラント埋入では安定が得られにくい状態
治療内容
1. ブリッジの除去と抜歯
まず既存の金属ブリッジを除去。その後、感染源となっていた左下第二小臼歯を抜歯しました。抜歯窩からは膿が排出され、根の先には膿疱が形成されていました。感染組織を丁寧に掻爬し、清掃しました。
2. GBR(骨造成)併用インプラント即時埋入
抜歯部は顎骨の吸収が顕著で、そのままではインプラントの初期固定が得られませんでした。そのため、抜歯即時インプラント埋入と同時に**GBR(骨造成術)**を行いました。人工骨を補填し、吸収性膜で覆うことで、欠損部に骨再生を促しました。
3. 治癒期間の延長
骨造成を行ったため、通常より長めに治癒期間を設けました。約8か月間の経過観察を行い、レントゲンやCTで骨の成熟とインプラントの安定性を確認しました。
4. 上部構造の作成と装着
治癒が安定した時点で精密印象を採得し、最終補綴物を製作しました。ジルコニアクラウンを用い、審美性と耐久性を兼ね備えた補綴物を装着。噛み合わせの調整も行い、自然な咀嚼機能が回復しました。
治療後の経過
治療開始から約1年後、左下奥歯のインプラント治療が完了しました。腫れや痛みは解消し、しっかりと噛める状態が回復。ブリッジの時に感じていた違和感もなくなり、患者様は安心して食事ができるようになりました。
患者様の感想
「保険外診療は高額ではあると思いますが、今はすごく満足しています。インプラントは初めは怖いイメージでしたが、実際には痛みもほぼ無く安心しました。きれいに治していただきありがとうございました。」
インプラントの良さ(今回のケースから)
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ブリッジで支台歯に負担がかかっていた部位でも、インプラントで根本的な解決が可能
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隣在歯を削らずに済むため、残っている歯の寿命を延ばせる
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GBRを行うことで骨量不足のケースにも対応できる
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自然な見た目と噛み心地を再現できる
長持ちさせるためのポイント
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毎日のブラッシングと歯間ブラシでの清掃
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インプラント周囲炎予防のため、3〜4か月ごとの定期クリーニング
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噛み合わせのチェックを継続的に行う
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小さな異常も早期に歯科医院へ相談する
まとめ
今回の症例は、過去に第一大臼歯を抜歯しブリッジで補綴していた部位で、支台歯の第二小臼歯に大きな病巣ができたケースでした。
歯を保存することは困難であり、抜歯と同時にインプラント埋入・GBRを行うことで、1年かけて機能と審美を回復しました。
患者様は「怖いイメージがあったけれど痛みも少なく満足できた」と安心され、治療結果に大変満足されています。
インプラントは、ブリッジによる支台歯の負担や長期欠損による骨吸収があるケースでも、骨造成を組み合わせることで対応できます。同じように悩まれている方は、ぜひご相談ください。