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歯の豆知識
インプラント
インプラント症例:54歳女性のケース
左下大臼歯二本欠損に対するGBR併用インプラント治療症例
目次
初診時の状況
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症例概要
• 患者:女性
• 年齢:54歳
• 主訴:虫歯がある、歯がしみる
• 治療部位:左下第一大臼歯・第二大臼歯(来院時より欠損)
• 治療期間:1年9ヶ月
問診
患者様は「虫歯がある」「歯がしみる」という症状を主訴に来院されました。
診査を進める中で、左下の奥歯2本が長期間欠損していることが分かりました。
詳しくお話を伺うと、
- 左下第一大臼歯は中学生の頃に抜歯
- 左下第二大臼歯は約10年前に抜歯
という既往がありました。
第一大臼歯については抜歯後にブリッジ治療を受けていたものの、長期間の使用によってトラブルが生じ、現在は欠損状態となっていました。
また、第二大臼歯を失った後には部分入れ歯を作製されたそうですが、
- 違和感が強い
- 歯ぐきが痛くなる
- 食事中に動く
- しっかり噛めない
といった問題があり、最終的には使用しなくなってしまったとのことでした。
その結果、左側ではほとんど噛むことができず、長年にわたり右側ばかりで食事をしている状態が続いていました。
患者様自身も、
「いつかはインプラントをしたい」
という気持ちはあったそうですが、
- 手術への恐怖
- 費用への不安
- 本当に成功するのかという心配
から、なかなか一歩を踏み出せなかったそうです。
そんな時に、当院に勤務していたご親族の衛生士からインプラント治療について聞き、相談のため来院されました。
口腔内所見
口腔内を診査すると、左下第一大臼歯および第二大臼歯が欠損していました。
さらにCT撮影を行ったところ、欠損期間が非常に長かったため、歯を支えていた顎の骨が痩せていることが確認されました。
歯を失うと、その部分の骨には咀嚼による刺激が伝わらなくなります。
すると骨は徐々に吸収されていきます。
今回の症例では、
- 第一大臼歯は数十年
- 第二大臼歯は約10年
という長期間の欠損があったため、インプラントを安全に埋入するための骨量が不足していました。
そのため、通常のインプラント埋入だけではなく、骨を再生させるためのGBR(骨造成)が必要と判断しました。
治療計画
患者様には現在の状態をCT画像を用いて詳しく説明しました。
治療方法としては、
- 部分入れ歯
- ブリッジ
- インプラント
を比較しながら説明しました。
しかし、
- 入れ歯は過去に合わなかった経験がある
- ブリッジでは健康な歯を削る必要がある
- しっかり噛めるようになりたい
という希望があったため、インプラント治療を選択されました。
ただし骨量不足が認められたため、
①GBRによる骨造成
②インプラント埋入
③上部構造装着
という段階的な治療計画を立案しました。
治療内容
1. 虫歯治療・口腔内環境の改善
まず主訴であった虫歯や知覚過敏の治療を行いました。
インプラント治療を成功させるためには、口腔内全体の健康状態を整えることが重要です。
歯周病や虫歯のコントロールを行い、インプラント治療に適した環境を整えました。
2. GBR(骨造成)
CT検査の結果から骨量不足が認められたため、まずGBRを行いました。
GBRとは、人工骨や再生材料を用いて不足した骨を再生させる治療です。
骨量が不足した状態で無理にインプラントを埋入すると、
- 初期固定が得られない
- インプラント周囲炎のリスクが高まる
- 長期的な安定性が低下する
といった問題が生じる可能性があります。
患者様は手術への不安が強くありましたが、十分な説明を行ったうえで治療を進めました。
3. 治癒期間
GBR後は人工骨が骨としっかり結合するまで待機期間を設けました。
定期的なレントゲン検査やCT検査で骨の成熟を確認しながら慎重に経過観察を行いました。
治癒経過は良好で、インプラント埋入に十分な骨量を確保することができました。
4. インプラント埋入
骨の再生を確認した後、左下第一大臼歯および第二大臼歯部へインプラントを埋入しました。
事前に作製したサージカルガイドを使用し、安全で正確な埋入を行いました。
手術時間は比較的短時間で終了し、術後の経過も良好でした。
5. 上部構造の装着
インプラントと骨の結合を確認した後、最終的な被せ物を製作しました。
上部構造にはセラミックを使用し、
- 見た目の自然さ
- 清掃性
- 耐久性
を重視して作製しました。
噛み合わせも細かく調整し、左右均等に噛める状態へ仕上げました。
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治療後の経過
治療完了後、患者様は長年できなかった左側での咀嚼が可能になりました。
これまで右側ばかりで噛んでいたため、
- 食事に時間がかかる
- 顎が疲れる
- 食べられる物が限られる
といった問題がありましたが、インプラントによって改善されました。
現在では左右均等に噛めるようになり、食事を楽しめるようになったと喜ばれています。
また、定期的なメンテナンスにも積極的に通院されており、良好な状態を維持しています。
治療費用
内容 | 費用(税込) |
|---|---|
インプラント埋入(2本) | 440,000円 |
サージカルガイド | 55,000円 |
インプラント上部被せ物(2本) | 330,000円 |
GBR(骨造成) | 55,000円 |
合計 | 880,000円 |
インプラント治療のメリット
今回の症例では、
- 左右均等に噛めるようになった
- 入れ歯の違和感から解放された
- 健康な歯を削らずに治療できた
- 食事の満足度が向上した
- 見た目も自然に回復できた
というメリットが得られました。
治療のリスク・副作用
インプラント治療には以下のようなリスクがあります。
- 手術後に腫れや痛み、内出血が起こる場合がある
- 骨とインプラントが結合しない場合がある
- 感染によりインプラント周囲炎を発症することがある
- GBRを行った場合、人工骨が十分に定着しないことがある
- 神経や血管を損傷するリスクがある
- 強い歯ぎしりや食いしばりによって上部構造が破損する場合がある
- 定期的なメンテナンスを怠ると寿命が短くなる可能性がある
そのため、治療後も継続的なメンテナンスとセルフケアが重要です。
まとめ
今回の症例は、第一大臼歯を中学生時に抜歯・ブリッジ治療、その後第二大臼歯も欠損したことで、長期にわたり左下奥歯の咀嚼機能を失っていたケースです。
GBRによる骨造成を経てインプラント埋入を行い、最終的に2本のインプラントで機能を回復しました。
治療には1年9ヶ月と長い期間を要しましたが、患者様は「両側で噛める幸せ」を取り戻され、非常に満足されています。
インプラントは、欠損期間が長くても骨造成などの技術を組み合わせれば治療可能です。長年奥歯を失って悩んでいる方も、ぜひ一度ご相談ください。