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歯の豆知識
インプラント
インプラント症例:41歳 女性
目次
初診時の状況
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症例概要
- 患者:女性
- 年齢:41歳
- 主訴:右上の歯ぐきが腫れて痛い
- 治療部位:右上第二小臼歯
- 治療期間:約1年間
問診
患者様は「右上の歯ぐきが腫れて痛い」とのことで来院されました。数日前から違和感があり、徐々に腫れが強くなってきたとのことでした。特に押した時の痛みが強く、食事の際にも噛みにくさを感じておられました。
これまでにも同じ部位に違和感を感じたことはあったそうですが、自然に症状が落ち着くこともあり、そのまま経過を見ていたとのことです。しかし今回は腫れが強く、痛みも続いていたため、当院を受診されました。
口腔内所見
右上第二小臼歯の歯ぐきには明らかな腫脹が認められ、押すと強い圧痛がありました。歯ぐきの一部には膿が溜まっているような膨らみも確認されました。
レントゲン撮影を行ったところ、右上第二小臼歯の根の先に大きな透過像があり、根尖部に膿疱(膿の塊)が形成されていることがわかりました。いわゆる「per病巣」と呼ばれる状態で、根の先に細菌感染が広がり、周囲の骨を溶かしてしまっている状態です。
さらにCT撮影で確認すると、病巣は比較的大きく、周囲の顎骨も一部吸収していました。保存できる可能性についても慎重に検討しましたが、感染範囲が広く、歯の状態も悪かったため、長期的な予後を考慮すると抜歯が必要であると判断しました。
患者様には現在の状態をレントゲン画像を見ながら説明し、
- なぜ抜歯が必要なのか
- 無理に残した場合に再発するリスク
- 抜歯後の治療方法
について丁寧にお話ししました。
そのうえで、患者様は「できるだけ自分の歯に近い状態で噛めるようにしたい」と希望され、インプラント治療を選択されました。
治療内容
1. 抜歯
まずは感染源となっている右上第二小臼歯を抜歯しました。抜歯時には周囲の骨や歯ぐきをできるだけ傷つけないよう注意しながら処置を行いました。
抜歯後には根の先にできていた膿疱を丁寧に掻爬し、内部をしっかり洗浄しました。感染組織を残してしまうと、後のインプラント治療に悪影響を及ぼす可能性があるため、慎重に処置を進めました。
2. GBR(骨造成)
病巣によって顎骨が吸収されていたため、そのままではインプラントを安定して埋入することが難しい状態でした。
そのため、GBR(Guided Bone Regeneration:骨造成術)を行い、不足した骨を補う処置を実施しました。人工骨を補填し、特殊な膜を用いて骨の再生を促します。
患者様は「骨を作る手術」と聞いて非常に不安を感じておられましたが、処置内容や術後の流れを詳しく説明したことで安心して治療を受けていただけました。
術後は多少の腫れはあったものの、大きな痛みやトラブルはなく、経過は良好でした。
3. インプラント埋入
骨の状態が安定した段階で、インプラント埋入手術を行いました。
局所麻酔を十分に効かせたうえで処置を行い、事前のCT診断に基づいて適切な位置・角度にフィクスチャーを埋入しました。
手術時間は30分程度で終了し、出血も少なく、患者様が心配されていたような強い痛みはほとんどありませんでした。
術後は感染予防のための投薬と清掃指導を行い、定期的に経過観察を続けました。
4. 治癒期間
インプラントは埋入してすぐに使用できるわけではありません。骨とインプラントがしっかり結合するまで待機期間が必要です。
今回の症例ではGBRを併用していたこともあり、慎重に経過を確認しながら治癒を待ちました。
埋入後の予後は非常に良好で、腫れや炎症の再発もなく、インプラント周囲の骨も安定していました。
5. 上部構造の作成・装着
埋入から約6ヶ月後、骨とインプラントの結合状態が良好であることを確認し、上部構造(被せ物)の型取りを行いました。
今回は周囲の歯の色調に合わせたセラミッククラウンを製作し、自然感のある仕上がりを目指しました。
装着後は噛み合わせを細かく調整し、過度な負担がかからないように調整しました。見た目も自然で、患者様にも大変満足していただけました。
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治療後の経過
インプラント装着後は、痛みや腫れもなく、以前と同じようにしっかり噛める状態を回復しました。
患者様は「最初は手術が怖かったけれど、実際には思っていたよりかなり楽だった」とおっしゃっており、見た目や機能面にも満足されていました。
また、インプラントを長持ちさせるために、歯間ブラシや定期的なメンテナンスの重要性についても理解していただき、現在も定期検診を継続されています。
患者様の感想
「インプラント治療を初めて体験しました。
価格は高価でしたが、失った歯に近い状態に戻したかったので選択しました。
手術に関しては痛みが心配でしたが、想像していたよりも早く終わり、出血も少なく、痛みもありませんでした。
メンテナンスは必要になりますが、やって良かったと思っています。」
インプラントの良さ(今回のケースから)
- 天然歯に近い見た目と噛み心地を回復できる
- ブリッジのように周囲の健康な歯を削る必要がない
- 入れ歯と違い、取り外しの違和感が少ない
- 骨造成を併用することで、骨量不足のケースにも対応可能
長持ちさせるためのポイント
インプラントは人工物ですが、周囲の歯ぐきや骨は天然の組織です。そのため、毎日のケアと定期的なメンテナンスが非常に重要になります。
今回の患者様にも、以下のことをお伝えしました。
- 毎日の丁寧な歯磨き
- 歯間ブラシやフロスの併用
- 定期的なクリーニングと噛み合わせチェック
- 違和感があれば早めに受診すること
まとめ
今回の症例では、右上第二小臼歯の大きな感染病巣によって抜歯が必要となりましたが、GBRによる骨造成を併用し、インプラント治療によって機能と見た目を回復することができました。
患者様は「怖いイメージがあったけれど、思っていたより痛みも少なく安心して治療を受けられた」とおっしゃっており、現在は快適に食事や会話を楽しんでおられます。
インプラントは、歯を失った部分を自然に補うことができる非常に有効な治療法です。歯ぐきの腫れや痛み、抜歯後の治療でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。