最近電子タバコの普及により電子タバコの事を聞かれることがよくあります。
「電子タバコだから歯周病でも大丈夫ですよね?」
歯を抜いた後に「電子タバコだから大丈夫ですよね?」
インプラントを考えてる方が「電子タバコならインプラントでも大丈夫だよね?」
結論から言うと…
あまり良くは無いです。
アイコスなどの加熱式タバコがお口の環境へ与える影響を説明したいと思います。
タバコが口の環境に影響を与えるのは「歯周病」、「歯の黄ばみ」、「歯茎の色」、「口臭」、「傷口の治り」などです。
まずは健康に直結する歯周病や傷口の治りとの関係を説明していきます。
健康被害の懸念より世界的にも禁煙が推奨され、日本でもたばこの吸いにくい今、
愛煙家達にその打開策として発案されたのがこの加熱式タバコです。
その加熱式タバコがお口に与える影響は、ネット上では色々な評判があるので何を信じたらいいかわからないですよね。
「アイコスに変えてから歯茎がはれたよ」とおっしゃられる患者様方もいらっしゃいます。
そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「電子タバコに変えてから」だけでなく、「禁煙したら」という方もいらっしゃいます。
歯茎が腫れるところまではいかなかったとしても
「電子タバコに変えてから口の中に違和感を感じるようになった」と言われる方や
「アイコスに変えてから歯周病になった!!」と言う人までいらっしゃいます。
どうやら、「歯茎」について何か違和感を持った人は一定数いらっしゃるようです。
一方で、アイコスに変えたことで、「口の匂いや苦味がなくなった!」という患者様もいらっしゃいます。
確かに、電子タバコは紙巻きタバコよりは健康に良いですし、有害物質90%カットと言われると、病気のリスクが減ると思われますよね。
そんなイメージからか、また実体験からか、口の中がスッキリしたとおっしゃられる患者様もいらっしゃいます。
ではなぜ歯茎が腫れる人と良くなった人にわかれたのでしょうか?
医学的に分析してみたいと思います。
この現象が起こった人たちの共通点は元喫煙者、「もともとタバコを吸ってらっしゃった」ということであり、歯周病持ちであったという可能性が高いと考えられます。
電子タバコに変えてから、もしくは禁煙してから歯茎が腫れたのは、今まで抑え込んできた元々の歯周病の症状が、アイコスに変えたこともしくは禁煙した事によって表面化してきたのだと思います。
歯周病の症状が表面化?!
「じゃーアイコスに変えない方がいいの?」「そもそも禁煙しない方がいいんじゃないの?」
と思われる方もいらっしゃるかも知れません。
結論から言うと、禁煙をお勧めします。
その根拠をご説明します。
「喫煙者が歯周病になる」メカニズム
喫煙は、歯周病の最大の危険因子と言われています。
喫煙者と非喫煙者を比べると、喫煙者の方が歯周病になる確立が約3倍も高いそうです。
そして最も問題なのは、
気付くことなく重症化し、気づいた時には結構重度の歯周病になっていると言う事です。
まずは紙巻きタバコの害についてご説明します。
タバコの煙には4000種類の化学物質が含まれており、そのうち200種類以上が有害物質、発ガン性物質は70種類にもなると言われています。
特に
その中には『ニコチン』『タール』『一酸化炭素』という3大有害物質が含まれています。
『ニコチン』は強い依存性があり
喫煙により、肺から速やかに吸収され全身に広がり、間接的には血管収縮作用ももたらします。
『タール』はフィルターに茶色く付着する、ヤニのようなべっとりしたもので、強力な発がん性があります。そしてこのタールは唾液量を減らし、歯周病菌の温床となる「歯垢」や「歯石」が歯につきやすくなる原因にもなっています。
そして唾液の分泌量が減り、付いた歯垢や歯石にさらにタールが付着します。
そして『一酸化炭素』は酸素の200~250倍の力でヘモグロビンと結合し、血液の酸素運搬機能を阻害し、あるゆる組織の酸素欠乏を引き起こし、ニコチンの血管収縮作用と共に、血液循環を悪化させ、歯茎に酸素や栄養がいきわたらない状態にします。
つまり、タールが歯茎に汚れを付けて、ニコチンと一酸化炭素が歯茎に栄養を行き渡らせないようにするという歯周病最強タッグなのです!!
だから普通のタバコは歯周病を悪化させる要因となります。
そして、電子タバコはこのタールがなくなるのが特徴なので「歯周病にならないやん!」
ってなるんですが、ここに落とし穴があります。
一般的には『タール』『一酸化炭素』は葉を燃やす事により発生すると言われていますが、加熱式タバコは煙を出さないことにより、「煙」に含まれる『タール』『一酸化炭素』が発生しないという見解であり、今回この上記の歯周病になるとか、よくなるとかの現象の肝は、加熱式タバコにタールが含まれない事が大きく関わっていると思われます。
タールは有害物質なのは間違いないのですが、実は
炎症を抑えたり、「抗ウイルス作用」という成分も入っています。
紙巻きタバコから摂取するタールは基本悪影響でしかないですが、一時的には、風邪やインフルエンザの予防や治療をしてくれる効果もあるそうです。
つまり電子タバコに変えて違和感が出た人などは、紙巻きタバコのタールの効果で歯周病の腫れなどの症状を押さえ込んでいたのです。
それを電子タバコに変える事で、タールによる炎症を抑える効果がなくなり、今まで抑え込んできた元々の歯周病の症状が表面化してきたという事です。
だから「アイコスに変えて歯周病になった!」という人は、アイコスを吸う前から歯周病だった可能性が限りなく高いといえます。
実はこの症状、喫煙者が禁煙に成功した時にも、よく起きる現象だといわれています。
ここまでの話をまとめると、
・電子タバコに変えるとタールが出ない
↓
・タールによる炎症を抑える効果がなくなる
↓
・元々歯周病の人の歯茎の炎症が再発する
という流れとなります。
この症状事態は一時的には辛いですが、もっと辛いのは見つからないまま歯周病が悪化し、
何本かの歯を失う事です。
ですので、「アイコスに変えたから歯茎が腫れたから紙巻きタバコに戻そう」「禁煙したら歯周病になったから禁煙をやめよう!」という発想は避けた方がいいと思います。
アイコスだけでなく、プルームテックやグローなどの次世代タバコも全て同じです。
先ほど説明したように、喫煙者の人は歯周病になりやすく、症状が出にくい状態ですので、一度歯科医院で検診を受けていただく事を、可能であれば定期的な検診を受けていただく事をオススメします。
もちろん歯周病の治療や予防、口内環境を改善するために一番良いことは喫煙自体をやめることです。
次世代タバコも、「有害物質が少ない」からといっても、「健康に良い」わけではありません。
さらに、ご存知のとおり加熱式タバコにはニコチンが含まれており、歯茎への栄養補給を遅らせてしまう作用がありますので、歯茎への悪影響を止めることできません。
特にインプラントなどの外科的な治療をお考えの方、今後控えている方はおやめていただくことを強くお勧めします。
手術時には歯茎の治りが悪くなって手術が失敗になる事もありますし、せっかくお金をかけたインプラントの持ちも悪くなります。
禁煙が難しいのはニコチン依存症です。
ニコチンには、身体的依存と心理的依存という薬物依存があるからです。
ニコチンの依存度はヘロインやコカイン、アルコールよりも高いと言われています。
電子タバコは結局ニコチンを吸いますので、依存性もありますし、タバコを吸うという習慣も変わらないので、禁煙へ導くには逆に遠回りになってしまう事が多いそうです。
スイスの学者の研究によると、確かにニコチンなどは数パーセント減少しているものの、ホルムアルデヒドなどの発がん性物質は従来のタバコと同様だそうです。
また、紙巻タバコと違い、煙が見えないので、発生する有害物質が見えにくく、周囲の人々にとっても受動喫煙を避けられず、かえって危険ではないか?との見方のあります。
電子タバコの歯周病以外の他の影響は?
それでは、「歯の黄ばみ」や「口臭」はどうなのでしょうか?
ずばり、電子タバコに変えると歯の黄ばみは改善されます。
電子タバコにはタールは含まれていませんが、ニコチンが含まれています。
ニコチンはいわゆる「ヤニ」と言われる歯を黄ばませる残念な効果があります。そして、血行が悪くなる事で歯茎の色を悪くしてしまう効果もあります。
タールがない分、そのヤニが付きにくくはなるので、きちんと歯磨きをしていれば、歯の黄ばみは改善され、歯茎の着色もマシになります。
※ただ、より一層早く白くしたい人は、歯科医院で歯垢や歯石を取り除いてもらったり、ホワイトニング効果が高い歯磨き粉を使ってみることをお勧めします。
口臭は改善される傾向にあります
アイコスにはタールが入っていないので、紙タバコ特有の強いにおいを発するからです。
しかしアイコスも臭いです…
これは、アイコスを加熱している際の、匂いが理由だと考えられています。
結論からすると加熱式タバコは紙巻きタバコよりは害が少ないが、やはりより良いのは禁煙するという事ですね♪
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